民泊運営の健全化を強力サポート 日本民泊協会・大植 惇生代表インタビュー
一般社団法人 日本民泊協会は、大阪市に拠点を置く民泊運営を健全に守るための第三者機関です。民泊オーナーの多くが加入している協会で、2015年 3月に設立されました。
近隣トラブル防止等の為の適正な管理と安全性を確保しつつ、インバウンドを含めた全ての個人旅行が快適になることを推進しています。協会設立までの道のりから、昨今の民泊をめぐるトレンドなどを交え、お話を伺いました。
民泊業界のモラルハザードを正す
私は民泊業界に携わる前は、「投資会社」に勤めていました。ビジネスパーソンだった当時から、いくつかの民泊運営を経験しています。2014年から日本で民泊が解禁されましたが、民泊事業が産声を上げた黎明期は、ホストに迷惑をかける悪質なゲストもかなりの割合でいました。
民泊解禁当時は、民泊といえば高級ホテルとは真逆の、B&Bスタイルのような簡素な宿がメインです。当然お客様の期待値も低く、ゲストもホストもそれぞれクオリティが高いとはいえない状況でした。
ブラックリストを共有できる協会を設立
当協会は、民泊業界初の”顧客ブラックリスト”情報をホスト側に共有する旨で、設立されました。金融業界で活用されているCICのシステムを民泊業界に取り入れたかたちで、設立以来、民泊Gメンとしての役割を目指しています。
民泊のオーナー様というのは老若男女様々で、女性オーナーやシニアの方も多くいます。そういった方をしっかり守るためにも、業界全体一丸となり、物的被害だけでなく人的被害や犯罪等を防ぎたい。まずは”情報網をしっかり守る”というミッションの下、活動しています。
民泊業界全体の透明性と質の向上を目指して
2015年に厚生労働省から、”民泊運営に営業許可が必要である”という旨の通達が提出されました。これを機に民泊に対する世論も高まり、より一層業界全体が襟を正し、ホスト側の透明性を向上させることが求められるようにもなりました。
当時民泊業界の内部では、合法的に民泊運営を推進すべきとする側と、そうではない側の2種類のオーナーが存在していました。協会としてはそれら派閥の板挟みにも遭い、どの組織にも深く関われないという不遇を経験します。
しかし、程なくして国側が違法民泊に対して罰則を強化。そのあたりから、徐々に合法民泊の推進側のオーナーの声が大きくなり、それにつれて協会加盟者も増加してゆきました。
民泊ホスト向け🉐オリジナルサービス
私たちはオーナー様に対して顧客ブラックリストの共有以外にも、ホスト側にいかに役に立つか?ということを最優先に企画を考え、各種サービスに反映しています。
・民泊事業様向けオリジナル保険のご案内
民泊施設の運営に関する保険を三井住友海上と開発し、事業者様向けに販売。業界で一番補償内容が充実した保険となっています。保険加入を検討されている方は、まずご検討ください。
・業界を底上げするためのロビー活動を推進
コロナ禍当時、中小の飲食店がもらえる補償各種は民泊は対象外。民泊業界へも補償を充当して欲しいという陳情を束ね、政府機関にロビー活動を実施しました。政府が行った”Go Toトラベルキャンペーン”は、当協会が大阪の事務局長が国交相の大臣に直談判、対象内とする措置まで漕ぎ着けることができました。
国から冷遇されがちな小さな宿泊施設や旅行業会に対する補償をしっかりと獲得するために、今後も引き続き活動していきます。
日本の観光は非常にポテンシャルが高い
現在は少子高齢化に伴い、空き家も増加しています。民泊は、元々空き家活用のニーズが高く、民泊件数自体が徐々に増えていく見通しです。現在も、協会へのお問合せとして民泊をやってみたいという方からのお問合せは途切れません。
コロナ禍は、世界的に見ると未だ中国経済が回復していないなど、まだまだ修復期間中といえますが、日本へのインバウンドは今後間違いなく増えるという見通しがあります。なぜなら、日本の観光は非常にポテンシャルが高いからです。
四季折々の自然、相撲などのユニークな日本固有の文化、ハイクオリティな食文化など、世界的にみても唯一無二の存在感があります。
昨今の世界情勢を見渡すと、インバウンドはフランスが追い上げが一番の状況ですが、日本のインバウンドもそれに追いつけ追い越せと士気が高いです。協会としては、もっともっとインバウンドが加速すると読んでいます。
民泊とホテル業界は共存共栄の時代に
かつてライバルだったホテル業界は、民泊と共存共栄する時代に突入しました。民泊業界全体、ホテル並みに質を担保する努力が求められてきているからです。
簡易宿泊所含めた住宅宿泊事業の線引きは色々と難しく、現状では業務フローの改善に直面しているオーナーも多くいます。
協会に寄せられる質問やお問い合わせは、圧倒的に業者とのトラブルに関するものが多いです。民泊設立時のトラブルは、基本的にどちらが悪いという話でない場合がほとんどで、協会としては公平な立場でこれらの相談を受けています。
細かくみれば、民泊に参入する方が増えたことにより、業界知識が浅い方の盲点を狙う悪質業者が横行しているのかもしれません。しかし、民泊事業全体のモラルは向上し、業界としては右肩上がりに推移しています(協会調べによる)。これは協会加盟者様と協会とが、二人三脚で歩んだ努力の結果だと自負しています。
AirGrobalAgencyとの繋がり
近江代表は、当協会設立当初からの恩人です。民泊黎明期は、民泊運営の方針をしっかり定め、事業としてやっている非常に珍しい方で、お会いした当初から頭ひとつ飛び抜けて目立っていて、いつも頼れる存在です。
宿泊費の値段を下げよう下げようとする業界ムードとは真逆の、質の高いサービスと高単価で真っ向勝負する姿勢を、非常に尊敬しています。
常にアンテナを張って情報収集にあたり、豊富な経験をお持ちで、お知恵を拝借するばかりです。いつかその恩返しがしたいと思っているのですが、なかなか追いつきません。
昨今、当協会に不動産会社など大手の事業者さんからもお話が来るので、近江さんにご相談することも多くなってきました。今後も色々と関わらせていただければ幸いです。
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