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DO MY BEST! ~亀渕 悦子さんの挑戦とデザインへの情熱~

北海道札幌在住のインテリアデザイナー・亀渕 悦子さんは、幼少期から美術が得意で、高校時代にはファッションに没頭していました。勤務先の飲食店では、アルバイトから正社員(社長秘書)に抜擢されます。華々しくアパレル業界を邁進する亀渕さんは、当時勤務していた会社の社長からのすすめで、インテリアデザインの道を志します。 そこからキャリアを積んで、念願のニューヨークへ社会人留学、エンパイア・ステート・ビルの学舎で学びます。旅やアート、デジタルツールからもインスピレーションを得て、海外の物件デザインも深く学びを続けている亀渕さん。ホテル設計という大きな夢に繋げる軌跡を伺いました。

私がインテリアデザイナーになったきっかけ

私は商業空間のデザインや住宅など、デザイン全般に携わっているデザイナーです。グラフィックデザインも得意で、企業のネーミングやロゴデザインのお仕事もさせていただいています。

北海道出身で、現在も札幌に暮らしています。幼い頃から美術が得意で、高校時代にファッションへの興味を深めました。当時は、ISSEY MIYAKE、YOHJI YAMAMOTO、コム デ ギャルソン、MOGA、PINK HOUSE、YOSHIE INABA、BIGIといったDCブランドが全盛期。日本のファッション界が沸き立っていた時代でした。

私が一番初めに入ったデザイン事務所は、その時の自社の飲食店を設計していた会社で、当時の勤務先の社長の口添えもあって運よくお世話になることが出来ました。

そのデザイン事務所は恐らく当時の札幌のデザイントレンドを作っていたカリスマ的才能を持つデザイナーの社長がいた会社でBIGIやMOGA、メルローズなどの全盛ブランドの店舗などを次々と手掛けていて、当時の札幌では一番だったと思います。短い期間でしたがとても勉強になり、運よくご縁を頂いたことに本当に感謝しています。

私に転機をもたらしたのが、勤務先の会社の社長の一言でした。

「これからはインテリアの時代が来る!」

その言葉に背中を押され、興味の矛先がファッションからインテリアへと変わったのです。その会社は当時の札幌のトレンドとなるカフェバーを何店か展開しており、その改装工事やインテリアを間近で見る機会に恵まれました。それがインテリアデザインの魅力を作り手側から深く知るきっかけとなったのです。

社長の助言を胸に、私はインテリアの道へ方向転換しました。働きながらも1年間は夜学で学び、現場で経験を積むことで現在のキャリアを築いてきました。

社会人で念願のニューヨーク留学

そして社会人になり、3社ほど経験を積んだのち、念願だったニューヨーク留学を実現しました。当時取締役をしていた20年勤めた会社を退職し、44歳で単身ニューヨークへ。友人も知人もいない中、情熱だけで飛び込みました。

当時、63Fの教室から撮影したハドソンリバー側の眺めです。

滞在先は、留学相談会で紹介された学校がエンパイア・ステート・ビルの63階に位置し、学生寮はマディソン・スクエア・ガーデン隣のホテルの高層階というロケーションということで即決しました(笑)。エンパイア・ステート・ビルからわずか3ブロックの距離にあったのです。

まさにニューヨークの中心で最高の環境で学びました。

滞在は3か月と短期間でしたが、ニューヨークでの経験は、今でも私の原動力です。思い切って行ってとても良かったです。いつか再びこの街で暮らし、さらに挑戦したい。その夢を叶えるために、今も努力を続けています。

感性を磨き、形にするための習慣

感性を磨き、それを形にすることは、私のデザインにおける最も重要なプロセスです。日常の中で得たインスピレーションを大切にし、旅や読書、美術館巡り、そして街に溢れるデザインを観察することが欠かせません。

日本のアーティストでは、草間彌生や奈良美智の作品に魅了され、国内外の展覧会を訪れるたびに新しい視点を得ています。

2018年NY MOMA PS1によるロッカウェイで見た草間彌生「ナルシスの庭」

 

特に地元北海道だけでなく、麻布台ヒルズなど首都圏の最新商業施設、海外のトレンドスポットにも積極的に足を運びます

書籍は「商店建築」「Casa BRUTUS」などの雑誌を毎月購読しています。また、デジタルツールも重要なインスピレーションの源です。世界中の人が入っているインテリア系のFBグループや、PinterestやInstagramを活用し、最新のデザインや空間アイデアを取り入れることが日課となっています。

アートが好きになったきっかけは、学生時代にサルバドール・ダリやアンディ・ウォーホルの作品に触れたことです。それ以来、美術館巡りを欠かさず、実際に作品を生で見続けています。海外に行った際にも、現地の美術館や特別展を必ずチェックしています。

目に入る刺激、とりわけ現代アートの斬新な表現力に、インスピレーションがしばしば掻き立てられます。

ローマの遺跡、フォロロマーノに点在する安田侃の展覧会 2008年

同上

旅先で日本人アーティストの作品に触れるのは特別感があります。中でも、ローマ中に、北海道が誇る世界的彫刻家・安田侃の白い大理石の彫刻がたくさん置かれているのを見た時は大変印象的でした。

また、ニューヨークのISAMU NOGUCHI美術館も私の感性を刺激する大切な場所です。

NY ISAMU NOGUCHI MUSEUM

札幌 モエレ沼公園 ガラスのピラミッド

ISAMU NOGUCHIは、北海道の札幌にも彼がデザインした大きな公園があるので、そこはかなりお気に入りスポットになっています。

いちばん好きなアート空間はNYのMOMAで、何回行ってもその都度違った刺激をもらいます。

MOMAの代表的な所蔵、アンディ・ウォーホールのキャンベルスープ

同美術館の2023の展示

ニューヨーク近郊の現代美術館、ディア・ビーコンも大好きな美術館のひとつです。これらの経験が私のデザインを支える土台となっています。

DIA BEACON

旅することとデザイン

旅先では、その土地ならではの空気感や湿度、色彩、素材、風土、自然の造形物などに触れることで、新たな発見が得られます。

旅とデザイン―私の人生には欠かせない二つのテーマで、旅行先で見る文化や色彩は私がデザインをするうえでとても大切です。

例えばメキシコではルイス・バラガンの建築に初めて出会ったとき、世界遺産になった建築家の作品のピンクの色やアースカラー、その圧倒的な美しさに衝撃を受けました。

ルイスバラガン邸 室内

ルイスバラガン邸 ルーフトップ

ルイスバラガン邸/メキシコシティ

インドの雑踏の中の廃墟の片隅にあったドア


またインドではブルーに彩られた古いドアにハッとさせられたり、ミャンマーのカックー遺跡にある建築の造形美も素晴らしかったですが、印象に残ったのは風と音(風が吹く度に塔の上についているたくさんの数鈴が奏でる音色)が交わる幻想的な造形物です。衝撃的で、その斬新さに心が震えました。

ミャンマー・カックー遺跡

 

トルコのヒエラポリス・パムッカレの白と青のコントラストや、ニューヨークの高級デパートのショーウィンドー(特にバーグドルフ・グッドマン)も見るのが大好きで、デザインする際のインスピレーションの源泉になっています。

トルコ パムッカレ

ヘリタンス・カンダラマのロビーの岩

スリランカで廻ったアジアンリゾートホテルの先駆者 ジェフリー・バワの数あるホテルの中でも代表作「ヘリタンス・カンダラマ」は、ホテルが岩山やジャングルと一体化するような設計で圧倒されました。

ヘリタンス・カンダラマ

 高級ホテルにはMyスケールを携えて


旅といえば高級ホテル巡りも大きな楽しみです。バリのブルガリホテルやリッツカールトン、京都とインドネシアのアマンリゾート、マカオ・台北・東京のマンダリンオリエンタル、北海道のニセコのパークハイアットなど、素晴らしいと思えるホテルが世界中にあり、そこに泊まるのが楽しみのひとつでもあります。

素晴らしいホテルに訪れるたびに空間デザインへの想いが強くなります。

憧れのホテルにいざ泊まる時は、バックからMyスケールと設計図が書けるiPadを取り出します。そして部屋中を計測し、平面図に起こしています。帰宅したら、パソコンでそれをトレースしています(笑)。そういったデータも以前からストックしているのです。

常にアンテナを貼り引き出しを増やしつつ、ひとたび仕事が入ればクライアントのオーダーに合わせてまた1からまた情報を取りに行く。常にその新陳代謝が滞らないようにお客様ファーストを心がけています。

私の座右の銘は、DO MY BEST!いつも最善を尽くしているか?自問自答しながら前に進む。常にこれを心がけています。

いつかは自分自身でホテル設計に挑戦すること!それが私の次なる大きな夢です。

エアグローバルエージェンシーとの繋がりと今後の展望

近江さんとの出会いは川島塾4月の会合がきっかけでした。そこで札幌にある物件コーディネートを依頼されたのが初仕事となります。

民泊のインテリアデザインは通常のリフォームや新築とは異なり、既製品を組み合わせて作るのが基本です。札幌中ショップ巡りながら什器や家具選定するプロセスは楽しく、時間はかかりますが非常にやりがいがあります。

現在進行中の北海道・富良野や銭函の物件では近江さんからいただいているコンセプト「勝てる部屋づくり」を目指し、見た目だけでなく実用性にもこだわった空間デザインをしています。

例えばマットレス品質やノマドワーカー向け設備など、時代に即した世界基準のスペックを保つほか、地域性を活かしたモチーフ(アイヌ文化や北国のアイテム)を取り入れるなど、海外の物件プロデュースを多数手がけてきた近江さんならではの角度から見えてる北海道の魅力を軸に据えながら、民泊における新たなデザインを模索しています。

Summit View Frano Plan Board

近江さんの仕事ぶりには常に感銘を受けます。スピーディーでフットワーク軽く、どこでもグローバルに行動できるその姿勢は本当にリスペクトしています。

仕事の合間に時折見せる無邪気な笑顔やロマンチストな発言には少年のようなピュアな感性も感じ、近江さんとの仕事は私の大きな学び場となっています。

今後の活動計画と抱負

近江さんと同じく、私も北海道という共通の基盤を大切にしつつ、海外展開も視野に入れ、来年も新しい空間づくりに挑戦したいと考えています。         

自分自身でも不動産や民泊を運営したいという目標があり、それが川島塾に参加した理由の一つでもあります。そして、ニューヨークで暮らす夢を実現するための道を歩み続けたいと思っています。

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