石垣島と宮古島と京都に高級バケーションレンタル 家族に愛される民泊の作り方
民泊黎明期の2013年ごろから、沖縄の人気エリア・石垣島と宮古島にバケーションレンタルを展開していたバデンRの石川泰成さん。こだわり抜いた設計で顧客大満足の民泊を手掛け、多くの業界視察ツアーも開催し、好評を博してきました。そんな先見の明ある石川さんが現在手掛けている、古都・京都のバケーションレンタルのお話や、人気民泊誕生ヒストリー、今後の展望などを伺いました。
民泊事業を始めたいきさつ
当社は長年不動産業を営んでいます。創業当初はレジデンス(アパート)を保有する大家業のみでした。10年程前に石垣島に戸建ての物件を建てたことを機に、民泊事業を開始しました。石垣島の物件は、当初プライベートのセカンドハウスとして使おうと思って着工しました。「私自身の憧れの家をようやく持てる!」と思って建て始めたのですが、着工直後から仕事が激務となり、今後なかなか自分が行けない状況が予想されたので、物件の目的を方向転換することにしました。
物件を建てようと思いたった当初は、滞在費も安く憧れの沖縄生活を営める喜びが先行していたのです。「自分の憧れの老後生活の基盤にしたい!」「夢をかなえたい!」という思いが強くありました。しかし、次第に旅館業として経営するスタイルに落ち着かせたいという思いが芽生えて、民泊事業はまだまだ黎明期の時代でしたが、思い切って踏み出したのです。それが当社が民泊事業を始めたいきさつです。
石垣島のバケーションレンタルのこだわり
当社の石垣島の物件は、沖縄ではオーソドックスなスタイルの2階建て3LDK戸建てですが、内装にこだわり、ラグジュアリーに仕上げています。歩いて30秒で海に行くことができるのが最大の魅力です。実は当初の構造計算完了版から民泊バージョンに変える為に、大幅に図面を引き直しています。一番の変更点は、1Fと2Fを交換して2Fの美しいオーシャンビューをリビング側に変更した所です。
バケーションレンタルの魅力
当時は新築のバケーションレンタル自体とても珍しく、競争相手のバケーションレンタルも物件自体が古しかったり、価格帯もハイシーズンで2~3万円という低価格のところが多かったです。そのなかでも当社は地域のなかでもかなりグレードの高いサービスを提供していました。持ち家と比較して、民泊として物件を保持しているメリットとしては、先ずは金銭面です。計5000万円で作ったものに対して、初年度で売り上げ1000万円近くを達成しました。その時は、もっと物件を増やすことも考えました。物件を作ったことによって多くの人に喜ばれ、事業主として喜びもひとしおだったのです。旅に居ながらにして自宅のように寛ぐことができるスタイルの宿は、ファミリー層にとても喜ばれるということを強く実感しました。経費の面でも一棟のみなのであまりコストがかさまず、コンパクトなのも事業としてのメリットが強いです。当社の石垣島の物件は、時代の先駆け感も手伝い、多くの投資家さんの視察ツアーも実施し、来た方それぞれの言葉で賞賛をいただき、とても喜んでいただきました。
宮古島のバケーションレンタル
バケーションレンタルとして始めた宮古島の同物件は6名限定で、ハイシーズンは宿泊料が6~7万円の価格帯で貸し出しを行っていました。一般的にも、沖縄県の中で離島は人気の観光スポットで、中でも宮古、石垣はダントツの人気を誇ります。ニーズにマッチした物件を展開することができ、黒字化できたことをきっかけに、当社は民泊事業を規模化する決断をしました。当社の民泊事業のうち、大規模なバケーションレンタルのスタイルの物件を始めたのは3年前と比較的最近なのですが、コロナ禍をきっかけに一時期中止していましたが、今回、新築の1階部分を1400万円程かけて改築をしてリニューアルオープンしています。
競争の激しい古都・京都 人気民泊誕生まで
当社が京都の民泊事業に乗り出した2017年当初は、規制が緩く玉石混合の時代でした。しかしその後の規制があり、民泊シーンは淘汰されていく一方でした。京都へ行きたいというインバウンド外国人顧客は根強い人気があり、一般のホテルでもかなり価格が高騰していました。そんな人気エリアの京都ですが、吹き溜まり化しているエリアもあります。当社のお客様に「購入したのはいいけど、物件活用に困っている」という方から、京都市内の円町というところの建物活用の相談を受け、民泊化することになりました。
京都の中でも、円町というところは、近隣に特段集客力の強い観光地というものがなく、地域にある民泊物件も似たような物件が多いのです。他と比べると競争相手が多すぎて埋もれてしまうため、上位を狙いにくいエリアでした。生憎部屋もコンパクトで小粒の間取りで、スペックで勝負しようとしても難しい状況でした。客足もあまり人気物件と言うには及ばず、当初は売り上げも上がらず、厳しい現実を目の当たりにしました。しかし、大手外資系グループ・OYOが一部を借り上げてくれたなどもあり、なんとか黒字化にこぎつけました。
インバウンド顧客と日本人家族層に人気、京都にオープン予定のバケーションレンタル
ホテルは一人で泊まる際、例えば15時にチェックインしたら、夕食までは部屋で過ごしながら、その後外出するというスタイルを取ると思います。しかし、当社が始めたバケーションレンタルは、ホテルステイの時間をもっと充実させることができます。1Fに共有部分があるので、部屋は寝るだけにして、チェックインしてからしばらくの空いた時間を共有部分で過ごすご提案をしています。
3ファミリー限定の物件で、棟全体は10部屋あり、複数ファミリーでお使いいただける物件です。1Fの寛ぐためのフリースペースがあるというのが物件としては珍しい形になっています。家族層はみんなでワイワイはしゃぎたい気持ちもあると思いますし、自然体で旅を楽しんでいただきたいです。フリースペースは外からのお客様を招くといった多用途でも使っていただけます。
エアグロバルエージェンシーと当社の今後の展開について
エアグローバルエージェンシーの近江さんとは、コロナ禍の過渡期を経て、当社の民泊事業にテコ入れしたいと思い、知人に他薦を募った際に、真っ先に近江さんの名前があがり、紹介していただいたご縁で繋がっています。実際の協業はこれからになりますが、青写真を描いている段階で、今後当社とタイアップして企画を回していけるだけの実力と実績を兼ね備えていると思います。近江さんは、民泊に関する知識と行動力に関して右に出る者はいないと感じています。
当社は、石垣や宮古島のバケーションレンタル増築も検討していますが、今は建築費も高騰しているので、現状のサービスをブラシュアップすることにとにかく集中して、再起をかけていきたいと思っています。当社で展開している事業のうち、多くは一般向け賃貸住宅のため、民泊は2%程度なのですが、今後は大阪にある区分マンションを民泊に展開したり、旭川にあるレジデンスも1F部分を民泊仕様にしたいなど、更なる発展を目指しています。不動産業界に長く携わった経験を活かし、より刺激的で社会的なインパクトも強い、素敵な民泊を創造していきたいと考えています。
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